本記事では、日本の不動産売却(居住用を中心)の標準的な手順を、関連法令や公的情報をもとに曖昧表現なく整理します。地域慣行や物件の属性により例外が生じる点は本文で明示します。
目次
近隣の成約事例・在庫状況を確認し、売却目標(価格優先かスピード優先か)を明確にします。売却期間はポータル等の実務ガイドで目安5~6か月とされますが、地域・価格設定・需要の影響が大きく、厳密な全国平均は確認できていません。相場の把握後、書類(登記簿、図面、管理関係書類、ローン残高証明など)を集めます。
売出価格は、査定価格を基礎に市場の売れ行き(回転)と希望手取のバランスで決めます。高すぎる価格設定は売却長期化・値下げリスクに直結します。
区分 | 売主の他社依頼 | 自己発見取引 | レインズ登録期限 | 活動報告頻度 | 有効期間 |
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一般媒介 | 複数社に可 | 可 | 義務なし(同意あれば登録可) | 法定義務なし | 上限なし(慣例3か月) |
専任媒介 | 他社に不可(単独依頼) | 可 | 7日以内(休業日除く) | 2週に1回以上 | 3か月以内 |
専属専任媒介 | 他社に不可 | 不可(自己発見も仲介会社経由) | 5日以内(休業日除く) | 1週に1回以上 | 3か月以内 |
上表のレインズ登録期限・活動報告頻度・期間上限は宅建業法・ガイドライン・標準媒介契約約款に基づきます。一般媒介は登録義務がないため、売主は「レインズ登録の有無と時期」を事前に取り決めると透明性が高まります。
買主からの「購入申込書」(価格・手付・引渡時期・融資条件など)に基づき、価格・付帯設備・引渡条件・公租公課(日割精算)等を詰めます。申込みは希望価格に届かなくても仲介業者には報告義務があります。
区分 | 所有期間の判定 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 |
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短期譲渡所得 | 売却年の1月1日現在で「5年以下」 | 30% | 9% | 所得税×2.1%(令和19年まで) |
長期譲渡所得 | 同「5年超」 | 15% | 5% | 同上 |
10年超軽減(居住用・要件有) | 3,000万円控除後の残額に段階税率 | 6,000万円以下:10%/超:15% | 6,000万円以下:4%/超:5% | 同上 |
提出書類例(居住用):売買契約書、登記事項証明書、住民票・附票(条件により)、取得費・譲渡費用の証憑、特例適用の各種添付書類 等。
免責:本記事は2025年10月23日(日本時間)時点の公開情報に基づく一般解説です。税制・ガイドラインは改正されるため、最新の官公庁資料や専門家(税理士・司法書士・宅建士)へご確認ください。自治体慣行や管理規約等、個別条件による差異は本記事では確認できていません。