住宅ローンを借りるとき、「固定金利にするか、変動金利にするか」は家計への影響が大きい重要な選択です。特に、2024年以降は日本銀行のマイナス金利解除・利上げにより、住宅ローン金利も少しずつ動き始めています。本記事では、最新の金利環境(2026年1月時点)を踏まえて、家計に合う金利タイプの見極め方を整理します。
将来の金利がどう動くかを正確に予測することはできません。したがって、本記事では「どの金利タイプが一番得か」を断定するのではなく、それぞれの特徴とリスクを理解した上で、自分の家計のリスク許容度に合う選び方を解説します。
結論|金利タイプ選びは「将来の金利予想」より「家計の守り方」で決める
- 変動金利型:当初金利が低く、毎月返済額も小さくなりやすいが、将来の金利上昇リスクを家計が負うタイプ。
- 全期間固定金利型:借入から完済まで金利が変わらず、返済額が一定。家計管理はしやすいが、当初金利は変動より高め。
- 固定期間選択型:10年固定など、一定期間だけ固定し、その後に金利を見直すタイプ。中間的な性格を持つ。
どれが「正解」かは、将来の金利ではなく、次の4点で考えると整理しやすくなります。
- ① 毎月返済がどの程度増えても家計が耐えられるか
- ② 借入額と借入期間(大きい・長いほどリスクが増える)
- ③ 世帯収入の安定性(公務員・正社員か、自営業か 等)
- ④ 貯蓄額と、将来の繰上返済の予定(いつどのくらい返せるか)
「毎月の返済額が増えると生活が成り立たない」場合は、全期間固定寄りの選択が基本線になります。一方で、「ある程度の金利上昇には貯蓄で対応できる」「借入期間が短い」場合は、変動金利も候補になります。
住宅ローンの金利タイプの基本
1.変動金利型とは
変動金利型は、借入後も金利が金融情勢に応じて変わるタイプです。多くの金融機関では、半年ごとに金利が見直され、返済額の見直しは5年ごとというルールが一般的です(いわゆる「5年ルール」と「1.25倍ルール」)。
- メリット:当初金利が低く設定されることが多く、同じ借入額・期間で比べると、スタート時の返済額と総返済額が小さくなりやすい。
- デメリット:金利が上昇すると、返済額が増えたり、場合によっては「未払利息(支払額を利息が上回り、払いきれない分が後ろに繰り延べられる利息)」が発生するリスクがある。
特に、収入にあまり余裕がない世帯・借入期間が長い世帯では、金利上昇が家計を圧迫する可能性が高まりやすくなります。
2.全期間固定金利型とは
全期間固定金利型は、借入時に決めた金利が完済まで変わらないタイプです。代表例が長期固定の「フラット35」です。
- メリット:契約時点で完済までの返済額が確定するため、家計管理がしやすく、将来の金利上昇リスクを金融機関側が負う。
- デメリット:変動金利型に比べて、当初の金利は高め。同じ借入額・期間なら、スタート時の返済額と総返済額は大きくなりやすい。
2026年1月時点では、フラット35(借入期間21年以上・融資率9割以下)の多く利用されている金利帯が年2%前後となっています(本記事執筆時点の情報であり、今後の金利水準は変更される可能性があります)。
3.固定期間選択型とは
固定期間選択型は、「10年固定」「20年固定」など、一定期間だけ金利を固定するタイプです。固定期間が終わると、その時点の金利情勢に合わせて、再び固定期間を選ぶか、変動金利に切り替えるかを選択します。
- メリット:当初10年など、子どもの進学など大きな出費が想定される期間を固定しておくことで、その間の返済を安定させられる。
- デメリット:固定期間終了後の金利がどうなるかは確認できていません。固定期間終了時に金利が大きく上昇していると、その後の返済額が増える可能性があります。
2026年1月時点の金利環境のイメージ
ここでは、2026年1月時点の公開情報をもとに、金利水準の「イメージ」を整理します。具体的な金利は金融機関・借入条件によって異なるため、最新の金利は必ず各金融機関の公式情報で確認が必要です。
- 政策金利:日本銀行は、2024年のマイナス金利解除後、2025年12月までに政策金利を0.75%程度まで引き上げています。
- 変動金利:主要銀行の新規借入向け変動金利(優遇後の適用金利)は、おおむね0.6%前後〜1%弱の水準が多いと報告されています。
- 10年固定(金利選択型):主要銀行の中央値は2%台半ば程度とされる調査があります。
- 全期間固定(フラット35等):フラット35(買取型)の代表的な金利は、2026年1月時点で2.08%前後と報告されています。
このように、現在は「変動金利はまだ低めだが、固定金利は明確に上がってきた」局面です。ただし、今後、金利が何%まで上がるか・下がるかは確認できていません。過去の推移や日銀の方針は参考になりますが、将来の金利を正確に予測することは不可能とされています。
家計に合う金利タイプを見極める4つの観点
1.「返済額がどれくらい増えたら厳しいか」を数値で決める
まずは、毎月の返済額が何円までなら生活できるかを、家計簿ベースで確認します。
- 現在の家賃やローンが8万円なら、+1万円までなら許容、+2万円は厳しいなど、数字で決める。
- 「食費・教育費・予備費」を削ってまで返済を優先する状態は、長期的には家計リスクが高い。
この「許容できる増加幅」が小さいほど、変動金利での金利上昇リスクに耐えにくい家計といえます。その場合、全期間固定金利型や固定期間選択型を軸に検討した方が安全度は高くなります。
2.借入額と借入期間(大きく・長くなるほど固定優位)
同じ金利上昇でも、借入額が大きい・借入期間が長いほど、総返済額への影響は大きくなります。
- 借入額が3,000万円よりかなり多い、または35年フルで借りる場合:長期にわたって金利変動の影響を受けるため、全期間固定や長期の固定期間選択型を検討する価値が高い。
- 借入額が比較的小さい(例:1,500万〜2,000万円程度)・借入期間を20年以内に抑えられる場合:金利上昇の影響は相対的に小さく、変動金利型も選択肢に入りやすい。
金融庁などの分析でも、金利タイプ別に見ると、全期間固定型の方が家計へのストレス(返済困難)に与える影響が小さい傾向が指摘されています。
3.収入の安定性と貯蓄額
固定・変動の選択は、収入の安定性と貯蓄額とも深く関係します。
- 全期間固定向きのケース:自営業・フリーランスで収入が変動しやすい/単独収入で家計を支えている/貯蓄が少なく、急な支出に対応しづらい。
- 変動金利も候補になるケース:共働きで複数の収入源がある/半年〜1年分程度の生活費に相当する貯蓄がすでにある/今後も貯蓄ペースを維持できる。
変動金利を選ぶ場合、「金利が上がったときは、繰上返済や固定への借り換えで対応する」という前提がよく語られますが、そのためには十分な貯蓄と、実際に動く行動力が必要です。これらが現実的に見込めるかどうかを、冷静に確認する必要があります。
4.ライフイベントと繰上返済の計画
「いつまでにどのくらい繰上返済するか」をライフプランと一緒に考えると、金利タイプの選び方が整理しやすくなります。
- 子どもの教育費が本格化する前(例:子どもが小学生のうち)に繰上返済を集中的に行う。
- 退職前には住宅ローンを完済する(65歳前に残債ゼロを目標とする)。
- ボーナス返済は「なくなっても家計が維持できる額」に抑える。
「10年以内に大きく繰上返済する計画が固い」場合は、当初10年固定や変動金利でスタートし、その後の残高を見て見直す選択もあり得ます。一方、「繰上返済の確実な原資や時期は確認できていない」場合は、最初から全期間固定で返済額を確定させる方が安全度は高くなります。
返済額のイメージを具体的な数字で確認する(概算)
金利タイプを検討する際は、具体的な金額で「もし金利が○%だったら」を比較するとイメージがつかみやすくなります。ここでは、次の条件で概算します。
- 借入額:3,000万円
- 借入期間:35年(420回払い)
- 返済方法:元利均等返済(毎月の返済額が一定になる方式)、ボーナス返済なし
この条件で、金利0.6%/1.1%/2.1%の場合の毎月返済額と総返済額(概算)は次のとおりです。
- 金利0.6%の場合:毎月約7万9,200円/総返済額 約3,326万円(利息 約327万円)
- 金利1.1%の場合:毎月約8万6,100円/総返済額 約3,616万円(利息 約616万円)
- 金利2.1%の場合:毎月約10万900円/総返済額 約4,239万円(利息 約1,239万円)
この例では、0.6%と2.1%の差だけで、利息総額が約900万円以上変わる計算になります。ただし、実際の金利や引下げ幅は金融機関・商品によって異なり、諸費用・団体信用生命保険・保証料なども含めると総負担は変わります。したがって、このシミュレーションはあくまで金利差のイメージを掴むための概算であり、個別のローン商品ごとの総負担額までは確認できていません。
まとめ|「いくらまでなら増えても大丈夫か」を決めてから金利タイプを選ぶ
- 金利タイプの有利・不利は、将来の金利動向がどうなるかによって変わるため、「変動が必ず得」「固定が必ず得」とはいえません。
- 現実的には、毎月返済がどれくらい増えたら家計が厳しくなるか、借入額・期間・収入の安定性・貯蓄額などを数値で確認し、家計に合うリスクの取り方を選ぶことが重要です。
- 「返済額が増えると生活が成り立たない」「収入や貯蓄に余裕が少ない」場合は、全期間固定金利型や固定期間選択型を中心に検討する方が安全度が高くなります。
- 「ある程度の金利上昇に備えた貯蓄があり、早めの繰上返済も現実的」「借入額が比較的小さい・期間が短い」場合は、変動金利型も候補になります。
最終的な判断は、金融機関や住宅ローンアドバイザー、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談し、最新の金利情報・商品内容・家計状況を踏まえて行ってください。
参考情報
- 住宅金融支援機構「金利のタイプとは?」(固定・変動・固定期間選択型の基礎)https://www.flat35.com/hajimete/atoz/01.html
- 住宅金融支援機構「“金利のある世界”でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考える」(マイナス金利解除後の金利環境と変動・固定の比較)https://www.flat35.com/lp/kinri/index.html
- 住宅金融支援機構「フラット35 金利情報」(フラット35の最新金利水準)https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
- ダイヤモンド不動産研究所「住宅ローンの金利推移(変動・固定)は?最新の動向や金利タイプの選び方も解説」
- 全国銀行協会「Q. 住宅ローン、変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか悩んでいます。」(家計のリスク許容度に基づく選び方の考え方)
- 金融庁「家計へのストレスが住宅ローンへ与える影響」(金利タイプ別に見た返済困難リスクの違い)
- 各社の住宅ローン金利比較・推移データ(主要行の変動金利は0.6%以上が過半・10年固定・35年固定金利の上昇傾向などを示す公開資料)
免責事項
本記事は、2026年1月時点で公表されている情報をもとに、住宅ローンの金利タイプと家計への影響に関する一般的なポイントを整理したものです。記事内で示した金利水準・シミュレーションはあくまで参考値であり、特定の金融機関・商品・契約条件における実際の金利・総返済額を保証するものではありません。
住宅ローン金利の将来の水準や、今後の金融政策・経済情勢がどのように変化するかについては、現時点で確認できていません。また、個々の読者の家計状況・資産状況・価値観は大きく異なるため、本記事の内容は特定の個人に対する投資・ローン選択の勧誘や推奨を意図したものではありません。
実際の住宅ローンの利用・借り換え・金利タイプ変更にあたっては、必ず各金融機関・専門家に相談のうえ、最新の金利・商品内容・手数料・リスクを確認し、ご自身の責任で判断してください。
投稿者プロフィール
-
杜丸不動産
-
地域密着の対応力で 理想の土地・住まいをご提案
群馬県高崎市・前橋市の不動産 土地、新築・中古一戸建てならお任せください