中古戸建ての見学(内覧)は、短時間で「買う/買わない」を判断する重要な場面です。本記事では、特にトラブルになりやすい断熱(暖かさ・涼しさ)、結露(カビ・傷みのサイン)、水回り(キッチン・浴室・洗面・トイレ)の3点に絞って、失敗を減らすチェックリストを整理します。
なお、本記事のチェックは「目視でできる一次チェック」です。構造や法律適合の確認は、専門家によるインスペクション(既存住宅状況調査)や、公的な検査・保険の制度と組み合わせて判断してください。
中古戸建て見学で外せない3つのチェック軸
- 断熱:窓・外壁・床下の「寒さ・暑さの出入り口」に着目する。
- 結露・湿気:窓まわり・天井・収納内部のシミ・カビ・においを重点的に見る。
- 水回り:キッチン・浴室・洗面・トイレの水漏れ跡、床のブカブカ、配管まわりの傷みをチェックする。
これら3つは、購入後にリフォーム費用がかさみやすい箇所でもあり、内見時点で「気になる点」を把握しておくことで、見積もりや値段交渉の前提がはっきりします。
見学前に知っておきたい「できること」と「専門家に任せること」
インスペクション(既存住宅状況調査)とは、国土交通省のガイドラインに沿って、建築士などの第三者が中古住宅の劣化状況をチェックする仕組みです。目視を中心に、構造上の重要な部分や雨漏りの有無などを調査します。
- 見学者ができること:シミ・カビ・ひび割れ・開閉不良など、目で見て分かる違和感をメモする。
- 専門家に任せること:構造安全性・雨漏りの原因特定・傾き・断熱性能の数値評価など。
- あらかじめ、インスペクションの有無や、既存住宅かし保険(中古住宅向けの瑕疵保険)加入の可否も、仲介会社に確認しておく。
本記事のチェックリストで「気になる点」が多い場合は、購入前に専門家の調査や、フラット35などの融資で必要となる物件検査・適合証明の取得可否も合わせて確認すると、安全性が高まります。
チェックリスト① 断熱|窓・外壁・床下まわり
1. 窓・サッシの仕様と状態
断熱=外と中のあいだで熱が出入りしにくいかどうかを示す性能です。その中でも、窓は壁に比べて熱が出入りしやすいため、体感に大きく影響します。
- ガラスの種類:単板ガラス(1枚)か、複層ガラス(2枚)か。複層ガラスやLow-Eガラスの方が一般に断熱性能は高くなります。
- サッシの材質:古い物件の多くはアルミサッシです。アルミのみよりも、アルミ+樹脂や樹脂サッシの方が熱を伝えにくい傾向があります。
- 開閉のしやすさ:窓の戸車が重い・傾きでこすれる・しっかり閉まらない場合、すき間風の原因になります。
- 枠まわりのすき間:手を当てて風を感じる/隙間テープだらけなどの場合、気密性能が低い可能性があります。
窓ガラスの端やサッシにメーカー名・品番シールが残っていることがあります。年式や仕様は、あとで写真を拡大して確認できるよう、スマホで撮影しておくと便利です。
2. 外壁・屋根・天井の「割れ・浮き・シミ」
- 外壁のひび割れ:髪の毛ほどの細いひびでも、量や位置によっては雨水の侵入経路になります。特に窓の角・バルコニーの付け根まわりは要注意です。
- 外壁のふくらみ・浮き:サイディングの継ぎ目が反っている/モルタルがふくらんでいる場合、雨水の侵入や下地の傷みが疑われます。
- 室内天井のシミ:天井の茶色いシミやクロスのはがれは、雨漏りや上階の水漏れの痕跡であることが多いです。
- 屋根裏点検口があれば、可能な範囲でのぞき、濡れた跡・カビ・光が差し込んでいないか(穴や隙間)を確認します。
雨漏りや外壁からの水の侵入は、断熱材や構造材の腐朽につながります。見学時に気づいたシミや割れは、位置をメモし、後のインスペクションで重点的に見てもらうと効率的です。
3. 床下付近のひんやり感・冷気
床の冷たさは、断熱・気密・床下の湿気など、複数の要因が重なって現れます。
- 冬場の見学なら、窓から離れた場所の床を素足または薄い靴下で踏んでみて、極端に冷たい場所がないかを確認する。
- 床下点検口がある場合、蓋を開けて、土台や束のカビ・カビ臭・湿った感じがないかを確認する。
- 和室の畳を手で押したとき、異常に冷たくジメジメしていないかを見る。
床下の湿気が強いと、カビ臭・木材の腐れ・シロアリ被害につながる可能性があります。ここは、見学時に違和感があれば必ず専門調査につなげたい箇所です。
チェックリスト② 結露・カビ・湿気のサイン
結露とは、空気中の水蒸気が冷たい窓や壁で冷やされて水滴になる現象です。長期間放置されると、窓台・壁紙・木部のカビや腐朽につながります。
1. 窓まわり・サッシのチェック
- 窓枠の角やゴムパッキンに、黒いカビや変色がないか。
- 窓台(木の部分)に、波打ち・膨らみ・塗装はがれがないか。
- サッシのレールに、水が溜まった跡・白い輪・サビが残っていないか。
結露や雨水が長く溜まっていた場合、窓まわりだけでなく、壁の中の断熱材や木材が傷んでいる可能性があります。範囲が広い場合は、リフォーム費用も大きくなりやすいため、要注意です。
2. 壁・天井・収納内部のシミ・におい
- 北側の部屋・角部屋の壁に、うっすらとした黒カビ・クロスの浮き・シミがないか。
- 押し入れ・クローゼットの奥、天井・床付近にカビ・変色・カビ臭がないか。
- 天井の四隅・梁まわりに、茶色い輪染みが出ていないか。
見学時は、収納の扉を遠慮せず開け、奥までライトを当てて確認するのがおすすめです。カビ・変色・強いにおいは、「通風が悪い」「断熱・気密が弱い」「生活湿気がこもりやすい」といった複数の要因を示すサインになります。
3. 室内の空気感(におい・ムッと感)
- 玄関を開けたとき、カビ臭・土っぽいにおいが強くないか。
- 1階と2階(ある場合)で、空気の重さ・においが極端に違わないか。
- 換気扇が適切に設置され、スイッチを入れたときにきちんと動いているか。
空気感は数値化しづらいですが、「なんとなく重い」「カビ臭い」と感じた場合は、床下・壁内の湿気や換気不足が隠れていることがあります。メモに残し、あとで原因を質問できるようにしておきましょう。
チェックリスト③ 水回り|キッチン・浴室・洗面・トイレ
水回りは、中古住宅でトラブルが起こりやすい場所です。水漏れや配管の詰まり、カビ、床の腐れなどは、目視でもある程度の予兆をつかめます。
1. キッチンまわり
- シンク下収納を開け、配管まわりの水漏れ跡・カビ・においがないか。
- 床板のたわみ:シンク前の床が踏むと沈む・ギシギシ鳴る場合、長年の水漏れで下地が傷んでいる可能性があります。
- ワークトップと壁の取り合い部(コーキング部分)に、割れ・カビがないか。
2. 浴室・洗面所
- 浴室の床:タイル仕上げの場合、ひび割れや目地の欠け、浴槽まわりのシーリング割れがないか。
- ユニットバスの場合、床が極端に沈む/ぐらつく箇所がないかを確認する。
- 洗面台下:給水・排水管の根元にサビ・青緑の変色・水シミがないか。
- 洗面所の床:洗濯機パン周辺や洗面台前で、クッションフロアのふくらみ・ブカブカがないか。
3. トイレ
- 便器の根元まわりに、水の輪染み・黒ずみがないか。
- タンク・給水管の結露跡(過去の水滴)やサビがないか。
- 床材の変色・浮き・柔らかさ(踏んだときに沈む)がないか。
水回りの床が傷んでいる場合、表面材の張り替えだけで済むケースもあれば、下地や配管のやり直しが必要になるケースもあります。見学時点では「症状の有無」を押さえ、リフォーム費用の見積もりを取ってから総予算を判断すると失敗が減ります。
4. 設備・配管の経年とリフォーム履歴
配管(給水・排水)や電気配線には、おおよその耐用年数があります。一般的な目安として、給水・排水など設備配管は15〜30年程度、電気配線は20〜30年程度といった説明がされています。ただし、具体的な寿命は材質・施工・使用状況で変わるため、「何年経ったら必ず交換」という線引きはできません。
- 築年数と照らし合わせて、「いつ・どこを・どの範囲で」リフォームしたかを売主・仲介会社に確認する。
- 「水回りだけ内装を変えた」リフォームの場合、配管自体がそのままのケースもあるため、図面や工事内容説明書があれば必ず確認する。
- 分電盤・コンセントまわりの古さも、電気配線の更新状況を推測するヒントになります。
見学時に「書類」で確認したいポイント
- 建築年月:省エネ基準や耐震基準の変遷を知るための基本情報。築年だけでは性能は断定できないため、図面や説明と合わせて判断します。
- 確認済証・検査済証の有無:建築確認・完了検査を受けているかの情報です。
- 過去のリフォーム履歴:いつ、どの会社が、どの範囲をリフォームしたか。
- インスペクション報告書の有無:第三者の検査結果があれば、見学で気になった箇所と照らし合わせます。
- 既存住宅かし保険への加入状況:加入済み/加入可否によって、引き渡し後の万一の補修範囲が変わります。
- フラット35を利用予定の場合、所定の技術基準に適合できるか(適合証明取得の可否)も事前に確認しておくと安心です。
中古戸建て見学用|簡易チェックメモの例
- 断熱・窓:ガラス種(単板/複層)、サッシ材質(アルミ/樹脂等)、結露跡・すき間風の有無。
- 外壁・屋根:ひび割れ・浮き・天井シミの位置。
- 結露・湿気:カビ・シミ・においを感じた部屋、収納名と場所。
- 水回り:キッチン/浴室/洗面/トイレごとの「シミ・床のブカブカ」があった場所。
- リフォーム・設備:水回りリフォームの有無・時期、配管や給湯器の更新時期。
- 気になる点:インスペクションや専門業者に詳しく見てもらいたい箇所。
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参考情報(一次情報中心)
- 国土交通省「インスペクション(既存住宅の点検・調査)」
- 国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」
- 一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅の個人間売買に安心を!」
- 住宅金融支援機構「中古住宅の物件検査・フラット35 技術基準」
- 住宅金融支援機構関連サイト「中古住宅 取得の前に知っておきたい基礎知識」
- 中古住宅購入時のチェックポイントをまとめた不動産・リフォーム会社各社の公開記事(断熱・結露・水回りの注意点等)
免責事項
本記事は、公開されている一次情報および専門機関の資料をもとに、中古戸建て見学時の一般的な確認ポイントを整理したものです。個別物件の安全性・性能・瑕疵の有無、リフォーム費用を保証するものではありません。実際の購入判断にあたっては、必ず宅地建物取引業者・建築士・金融機関・保険会社などの専門家と相談のうえ、最新の法令・基準・商品内容をご確認ください。
また、配管・配線・建材等の具体的な寿命や、リフォーム工事の可否・費用は、物件ごとの状態や施工内容によって大きく異なります。本記事では共通の数値目安のみを示しており、個別物件についての実際の耐用年数・工事内容までは確認できていません。
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